+aitai+
      ―会いたい―

 

それは夜。窓の外には闇が広がる。
時計は10時をさしている。俺、跡部景吾は風呂からあがり、自室に戻ってきた。
首に巻かれた濡れたタオルを、きちんとたたんで洗濯物用の籠の中に入れる。
俺はベットの上に腰を下ろした。外の暑さを思わせないクーラーが心地好い部屋、ベット
のシーツが冷たくて気持ち良い。
今日も部活後つい遅くまでストリートで宍戸達と打ち合っていた。
テニスは楽しい、つい時間を忘れてしまう。

しかし疲れたな・・・そう思いながら体を倒した時だった。
携帯電話が俺を呼んだ。
着メロがいつものとは違うのですぐに誰からかわかった。
清純だ。
俺はめんどくさいのでそんなことはしないが、あいつが番号を入れるときにかってに自分
の着メロだけ変えたのだ。

「俺様だ。」
そういって電話にでた。
「あ、跡部くん?俺、ラッキー千石だよ☆」
明るい奴の声が耳に響く。
まったく元気な奴だ。
ハァと溜息を吐いて返事を返す。
「で、何の用なんだ?」
「あー今溜息吐いたでしょう!つれないなぁ。別に用って程でもないんだけど・・・。」
なら電話してくるなよ・・・とか思いつつ心の中では少し嬉しい自分が居ることに、驚い
ていた。
「じゃあ切るぞ。」
そう冷たく言い捨てると、清純はあわてて話をつなごうとする。
「あぁ、待って!切らないでよ!!」
「あぁ?」
「冷たいなあ。俺泣いちゃうよ?」
受話器から聞こえる清純の声が甘え声になっていく。
「バーカ」
一言で言ってやるが、俺はあいつの甘えた声に弱い事に最近気付いた。

「会いたいな・・・」

ボソッ急にと清純がつぶやく。
「はぁ?」
「会いたい!今すぐ会いたい!!」
・・・おまえはダダっ子か!
「バカか貴様?こんな夜中に会うなんて無理だろ!?」
「でも会いたいんだもん。」
「夜中だぜ?」
「会いたい」
「明日は学校有るんだぞ?」
「それでも良いじゃん!」
「だから・・・」
言いかけると清純が言った。
「跡部くんは会いたくないの?」
そう言われると言葉につまる、俺様だって・・・。

「・・・何で今なんだ?」
そうだ、別に今じゃなくても良いはずだ。明日でも何時でも、会うなら会えるじゃねぇか
・・・
「だって跡部くん最近全然会ってくれないじゃん!」
「あ。」
確かに最近ずっと会っていない。
遅くまで部活で、その後もストリートでテニスをしていた。
そうか、ずっと会っていない。
毎晩電話やらメールやらよこしてくるからあまり気にならなかった。確かに最近会ってい
ない。
だが・・・
「別に今じゃなくても良いじゃねーか。」
「いやだぁ、今会いたいの!」
あぁ・・・こいつがダダこねだすとキリがねぇ。
「・・・明日会ってやるから!」
そろそろ怒れてきて不機嫌に怒鳴り付けた。
「明日・・・本当に明日、絶対会える?約束する?」
「あぁ、約束する。俺様は約束は破らない。」

「・・・。」

清純が少しの間黙る。
「ねぇ跡部くん?俺のこと好き?」
・・・いっいきなり何なんだこいつは!
顔が熱くなるのを感じた。
「なっ何を言いだすんだ貴様!」
びっくりしたのと恥ずかしさが混ざってうまく言葉が出せない。
「だって跡部くん、一回も俺に言ってくれた事無いよ?ねぇ・・・好きって言ってよ!そ
したら会うの明日にするからぁ。」
いったいどういう理屈なんだ。
しかし、なぜか言うのが恥ずかしい。言うだけなのに。
「ねぇ・・・俺のこと好き?」
少し寂しげな清純の声。

「好きだ。」

言ってからさらに恥ずかしくなる。
俺の顔は今絶対赤いだろう。
「俺も、大好きだよ!」
元気になった清純の声が明るくはずんでいる。
その言葉に、俺は余計に顔が熱くなるのを感じた。
俺はこいつが好きなんだ。改めて感じさせる。

「じゃあ明日、絶対だよ!」
「あぁ、部活後貴様の学校まで行けば良いか?」
「えー。」
何だその「えー」って!
今度は何が不満なんだ?
「部活の後なの?」
それか。
「当たり前だろ?貴様も部活が有るだろうが!」
「えー。俺は跡部くんに早く会いたいのに・・・」
そうは言われても部長の俺様が部活を休むわけにはいかない。
「キヨとテニスどっちが大事なの!!」
「テニス。」
「速答!?跡部くんひどいー!」
こいつはバカか?変な事聞きやがって。
本当のことなんて絶対言ってやらねぇ!
そう、本当の事は・・・。
「いいもん!明日絶対雨降るから、部活休みになるから!」
「はあ?何を根拠に。」
空は晴れ渡っていて星が瞬く。
天気予報もそんなことは一言も言ってはいなかった。
雨の降る気配など欠片もない。
「俺を誰だと思ってるの?ラッキー千石だよ?」
はあ?
「雨くらいラッキーで降らせてやるもんね!」
こいつ自分で降らせる気なのか?
「せいぜい頑張れよ。」
そんな事ができるかどうかは知らないが、あいつはやりかねねぇから恐い。

「じゃあな。」
「うん、おやすみ。」
電話を切って、俺は眠りにおちた。

 

次の日の朝、が覚めるとすぐに窓の外を見る。
外はあいつが言った通りにしとしとと雨が地面を濡らしていた。
「あいつ本当に降らせやがった。」
そうつぶやいた俺の顔は何故か笑顔が止めれない。

「おい。」
歩いてくる女中を呼び止めて言い付ける。
「今日の夕食、一人余分に作ってくれ。」
「はい、お友達が来られるのですか?」
「あぁ、とびっきりのを頼む。」
「かしこまりました。景吾様ご機嫌がよろしいですね。」
女中がにこりと笑う。
「まあな、雨だしな。」
「景吾様は雨がお好きなんですか?」と首を傾げながら女中は仕事に戻っていった。

そして俺は学校に向かう。
今日の放課後を楽しみにしながら。

END

 


++ あとがき ++

 

いやぁ。やっと終わったよ!
最近スランプ突入で、まったく書けなかったんですけど・・・書いちゃいました。
どうでしたか?
私が書くと、どうしてもこう、恥ずかしいものになるんですが・・・(苦笑
なぁ〜、リクありがとう!
おかげで書けました。ご期待に添えたかは解らないのですが(ってかBLで良かったの?)
またリクくれると嬉しいな☆
さて次は不二リョが書きたいな。(でも私が不二リョ書くとやばい系になるんだよな。
あはは(苦笑
それではこれにて失礼します。