遊びに行かないか?〜ヒロインsido〜
今日最後の授業が終了した。あたしは授業の途中から虎次郎へずっとメールを打っていたので授業の内容なんてこれっぽっちも覚えていない。
【――というわけで今から六角に行くね〜】
長々と説明を加えて虎次郎にメールを送信。
「ありがとうね、」
「うん、別にいいよ。あたしも久しぶりに会いたかったとこだし」
「でも、どんな人なの?もしかして・・・・すっごい怖い?」
「なわけないでしょ」
「だよね」
ブルブルブルブル・・・
「あ、着た」
【りょーかい】
「そっけな!!」
「え?何て?」
「いやね、あたしすべての事情を長々と書いてメールしたのに返信は【りょーかい】の一言なんだよ」
「あはは、多分読むのに疲れたんだよ〜」
「そうなのかなぁ?」
「あ・・・・・」
が固まった。
「またですか?」
の視線を追いかけて廊下を見る。
思ったとおり廊下には不二君と・・大石君と、河村君が居た。
「何か取り合わせが微妙・・・・・」
「うん、あんまり見たことがないショットだね」
しかも・・・・三人ともチュッパチャップス食べてるよ・・。大石君とか、似合わないっ!!
いや三人とも似合うとは言えないんだけど大石君のは、ね。ちょっと予想外だったというか・・・・。って予想もしてないんだけど・・・。
「ふ・・」
も小さく噴出してる。
「何か、似合わないね」
「ホントだよね。ま、いっか。、行こ」
「え?あ、うん」
鞄を掴んで廊下に出る。そして不二君達の横を通り抜けた。
その時チラリと見上げるとまたまた河村と目があってしまった・・・・・。
その途端あたしは固まる。あーもう見上げなきゃ良かった!!
「? !」
また急に立ち止まったあたしを不思議に思ってかが声を上げる。
「あ、ごめ・・・・」
河村君に軽く会釈をしてすり抜けた。
「なんか今日は河村君に逢ったら立ち止まってばっかだよ〜?」
「えー?あ、うん」
「もしかして・・・好きだとか?」
アンタもう完璧恋しまくってる女の子ですね。
「分かんない」
「絶対好きだって!」
「そっか?」
電車に揺られてやっと千葉に着いた。
「わー。何か千葉って感じだ〜」
「そだね〜」
駅から出て二人で伸びをする。電車で座りっぱなしって結構ダルいよな〜・・。
「!!」
「あれ?虎次郎ー」
「今日はテニスじゃなくてみんなで潮干狩りに行く事になったから迎えに来たんだ」
「あ、そうなんだ」
虎次郎の後ろを覗けば虎次郎と同じ格好をした男の子達がそれぞれ地面に座り込んでいた。
横には自転車。
「そ。んじゃ、海に直行〜!バネ〜!こっちの女の子・・えーっと名前は?」
虎次郎がに名前を問う。
「 です」
「ね。おっけ。よろしく」
「虎次郎、勝手に呼び捨てにしちゃダメでしょ」
「あ、いいよ、大丈夫。呼び捨てで呼んで?」
「ん、ありがと。バネ!を後ろに乗っけてってくれよ」
すると何かツンツン頭・・?でも無いけど周りに比べたらツンツンしてる方の男の子が片手をあげた。
なんか、仕草が様になってるな〜。
「んじゃ、今手をあげたアイツんチャリに乗ってね。は俺の後ろな」
「うん」
スイっと自転車を動かしてバネと呼ばれた男の子が近づいてきた。
「よっ。どっちがサエの従妹?」
「あ、あたしです」
「よろしく。んじゃあ、こっちが?」
はコクンと頷く。
「俺の事はバネで良いから。んじゃ後ろに乗れよっ」
そう自己紹介してさっさと自転車を後ろに向ける。
「じゃあ、もこっちの後ろに乗って」
「「しゅっぱーつ!!」」
虎次郎とバネはケラケラ笑いながら自転車を漕ぎ出した。
すると他の男の子たちも合流した。
「サエさんの後ろに乗っているのが従妹さんですかぁ?」
坊主の男の子が聞いてくる。
「ん、正解」
虎次郎がコックリ頷く。
「ボクは葵 剣太郎って言います。よろしくお願いしますね!ちなみに1年でテニス部の部長をしてます」
「よろしくね。って呼んでいいよ。バネの後ろに乗ってるのが親友のね」
「よろしくね」
それからは周りで自転車を漕いでる男の子達が次々に自己紹介をしてきた。
「何かみんな面白いあだ名が付いてるね〜」
「んあ?」
「だったらにも付けてあげようか?クスクス」
「亮、それはいらないよ・・・・」
「でも、亮は普通に呼び捨てなんだね」
「それを言うなら剣太郎もでしょ」
「ホントだ〜」
「そういやって一体何しに来たんだっけ?」
バシッ
「った!何で叩くんだよ」
「メールでしっかりと説明してあげたじゃないの!」
「だってあれ長かったから最後だけ読んで返信したんだ」
「バカ」
「ひどくない?」
「全然。ねえ?ダビデ。普通全部読まない?」
「あー・・・うん。サエさんが悪い・・悪(ワル)は1塁(ワルイ)ホームラン・・・・・・・・・プッ」
「分かりづれぇーよ!」
あ、バネに手で叩かれてる。
「で、結局何なのさ?」
亮が割り込んできた。
「だからね、虎次郎に不二君の事を聞こうと思って来たんだけど」
「えー?不二の事が好きなのっ?」
バシッ(本日二回目)
「ちがわい。あたしじゃなくって・・・・」
「あたしなの」
「かぁ〜。ま、いいよ。協力してやるよっ」
「やった!さすがサエ」
「でね、の初恋なんだよね」
「マジ?」
「初恋は実らないって言いますよね〜」
「縁起でも無い事言うなよ剣太郎!」
「わぁ!ハイ。すいませんでした!!」
「あはは。剣ちゃん面白い」
「俺たちも応援するから頑張れよっ」
わーバネやっさしい!するとみんなが一斉に角を曲がった。
「うわ。ちょっといきなり曲がらないで・・・・・・わぁ〜」
虎次郎に文句を言おうとしたらいきなり視界が真っ青に染まった。
「着いた〜〜〜!」
剣太郎が自転車を吹っ飛ばして砂浜を駆け出した。ダビデや樹っちゃん達もそれに続く。
虎次郎とバネはあたしたちが居るからゆっくりと自転車を止めてくれた。
「ありがとーね。虎次郎」
「いや、別にいいよ」
「バネもさんきゅーです」
「おう」
「さて、俺今日は潮干狩りは監視役って事で。の話とか聞こっかな」
虎次郎が爽やかに笑いながらこっちを振り向く。
「んじゃ俺も〜。何かこういう話、普段しねーから新鮮だし」
「それじゃあ、僕もかな」
バネと亮も参加するらしい。亮ってこんな話好きそうだよね・・・・。
それから虎次郎に不二君の事を色々聞いた。そしては虎次郎の話を聞けば聞くほど顔が緩んできていた。
「、さすがにその顔は直した方がいいかも・・・・」
「はうあぁ!ゴメン」
「あはは」
「いやバネ笑っちゃダメだよ」
「あ、はともかくなんだけど・・、は好きな人居ないの?」
亮がまたまた知りたい!って感じで聞いてきた。
「え?あーっと・・」
「あたしが思うに、河村君じゃないかな」
「「「河村君?」」」
が勝手にそんな事を言い出す。
「だぁ――っと!、何勝手にそんな事言ってんの」
「だってさ、絶対そうなんだもん。今日は二回も河村君と見詰め合ってたし!」
見詰め合ってないし!!
「マジで〜?あはは、そりゃもう絶対好きだよ」
「しかも二回〜?って事はあっちもの事好きだったりして〜!!」
「そうなんじゃねーのぉ?」
「でもよ、河村君ってあれだろ?青学テニス部の河村隆。通称タカさん」
「うん」
「の好きそうなタイプだよなー」
「虎次郎、いい加減にしないとあの事バラしちゃうからね?」
「あ、ゴメン」
「なんだよサエ、あの事って?」
へへーん。あれは虎次郎の人生最大の失態だもんね〜だ!あの事出すと虎次郎弱いんだー。
「な、何でもねーって。あ、そだ、ジュース買ってくるよ。みんな何がいい?」
「話逸らしやがってコノコノ〜。でもジュース欲しいからいっか。あたし炭酸〜」
「いいのかよっ」
バネが当然の様に突っ込む。多分バネには突っ込みの神様がついてるんだね・・・・・。
「あたし一緒に行くよ」
みんなの注文を聞き終わってからあたしは立ち上がった。
「はーい。じゃああたしたちは雑談続けとくね」
「ん」
「はまだあの事、引きずってるんだ?」
二人で海岸沿いの道路に沿って歩いていたら、虎次郎が話を切り出した。
「・・・・・・・ん」
「は知ってんの?」
「知らないよ。あたし青学に入ってからは恋をした事が無い女の子で通ってるもん」
「は?」
「だからね、好きな子とかも居ない。そんな女の子として通ってるの。も、昨日まではそうだったんだけどね〜」
「マジかよ」
「うん」
「前の彼氏・・・えっとだっけ?アイツの事忘れてないのか?」
「の事は・・まあ良いんだけど・・・・。傷はまだ治らないかな〜」
「俺がちゃんと守ってやれてりゃ良かったな・・・」
「虎次郎の所為じゃないよ」
「でも、何か罪悪感」
「そんな気にしないでよ。大丈夫になるように、頑張るから・・」
「そっか・・・・」
それきり会話は途切れてしまった。
そんな中、あたしの頭に浮かぶのは河村君の『大丈夫だよ』の声と、その時の優しい顔だけだった。
**あとがき**
あれ、あれれれ?最後シリアス風味じゃない?っていうか元彼の話題がもう出ちゃってるよ!まだタカさんの事もはっきりと出てきてないのに〜
なるべく暗くならないように、っていうかもし暗くなっても明るい話題織り込みますのでシリアス嫌いな方も安心してくださいね!
そして、虎次郎の人生最大の失態とは・・・・・・シカトの方向でお願いします(汗
あぁ〜今回は会話ばっかで疲れたなぁ〜(ぉーぃ
2004.8.11