アイスブルーの真実
やっぱり…もう終わりにした方がいいのかな
今まで色んな子たちが頑張ってきてたけど、結局みんなリタイアしちゃったもんね。
それだけ、周りの圧力は力強いものだった・・・
「いい加減別れろってーの!!」
「大体アンタなんかが不二君の彼女だなんてウソでしょ?」
「顔、性格ともにブサイクなんだからさぁ」
「うんうん。ホント、不二君に似合わないよねぇ」
ただいま体育館の裏に呼び出され中の、(14)乾と同じ3年11組の生徒です。
あたしが女の子の憧れの的の周助と付き合ってるからって毎度毎度のお呼び出し…。
いい加減ってどっちが!?
テニス部レギュラー陣の彼女をどんどん呼び出して圧力と根性で別れさせるこの人たちは絶対にあたしより顔も性格も悪いと思う。(ナルじゃないけどさ)
だからって一人じゃ太刀打ちできないわけで…。
こんなに精神的に参っちゃっている。精神病にかかる前に周助と別れた方が賢明なのかな。
ダイスキな彼氏、周助と・・・・
呼び出しも終わって教室に戻ると乾があたしの席の前の席に座って待っていた。
「お疲れ様」
「そういうくらいだったら助けに来なさいよね」
「データ採りをしているから暇がない」
「そうやってあたしの席の前で待ってる暇はあるのに?」
「これからデータを取らせてもらうのさ」
「・・・何の?」
「を苛めている奴らのね」
「へえ。事情聴取ってワケだ?」
「まぁな」
「・・・あのさ、乾」
「何だ?」
「アンタの前の彼女もアレ達が原因で別れたんだよね」
そう聞くと乾は少し自嘲気味に笑って言った。
「気づかなかったし、守ってやれなかったからな」
その声があまりにも憂いを含みすぎていて何故か泣きそうになってしまった。
そして、そんな気持ちをテニス部レギュラー陣全員が持っていると思うとすごく辛くなった。
「乾…」
「まぁ、昔の事だ」
「・・・」
「それより、今どんな感じか聞かせてくれないか?」
「どんな感じって?」
「精神的に・・とか」
「あぁ。何だろう…もう、リタイアの時期かなって・・・悩み中」
「なるほど。アレが始まってからもう3ヶ月だしな」
「うん…精神的に参っちゃってるし、別れ時なのかも…もし精神病とかになっちゃったら今度は迷惑かける事になりそうだし」
「そうか」
あまりに熱心に話していたから丁度用事で来ていた人が少し聞いていた事にはあたしも、もちろん乾でさえも気付いていなかった・・・・・・
「ありがとう。いいデータが取れたよ」
「お役に立てて光栄です」
「さて。そろそろ部活だ」
「頑張ってね」
「あぁ」
乾が出て行ってから少ししてみんなも居なくなって教室で一人ボーっとしていた。周助を待ってなきゃいけないから。
カラ・・・
ふいに後ろのドアが開く音がした。思わず立ち上がって振り返るとあたしの彼氏、周助が居た。
「周助!?部活はど・・・・」
どうしたの?と聞きたかったけど言葉が出てこなかった。その…周助の目が笑っていなかったから…。
「何」
一応聞いてみる。けれど周助は答えずにこっちに向かって歩いてきた。あたしは動こうにも動けなかった。
そしてあたしの目の前で止まるとアイスブルーの瞳をまっすぐに向けてあたしの名前を呼んだ。
「」
いつもの柔らかい声とは全然違い、怒りが混ざったというか、とにかく低い声であたしの名前を呼んだ。
「何?」
あたしは動揺した気持ちを抑え、出来るだけ平然を装いながら短く答えた。
「僕ってそんなに頼りないの?」
「え」
「どうして僕に相談してくれないの?」
「僕はの何?」
「こんなに想ってるのは僕だけ?」
「僕は・・・・」
さっきの声とは違って切なさが滲み出ていて、心が痛くなるような声だった。
「周…助・・?」
「僕たちの恋人たちがどうして別れて行ったのか、分かったよ。前の彼女たちはそれでも諦めがつく。だけど、は…だけは離したくないんだ」
周助はそう言うとあたしを正面から抱きしめた。すごく、力強く。いつもでは考えられないような強さで痛いくらいだった。
「もしかして…乾との話聞いてたの?」
周助はゆっくり顔を上げると小さく頷いた。
「うそ・・・」
「が僕と別れようとしてるなんて信じられない思いだったよ」
「ごめん」
「・・何で謝るの?」
「不安にさせちゃったんでしょ?だからごめん」
「やっぱり、別れたいの?」
「・・・・周助、よく聞いてね」
謝った理由をそうとらえた周助の誤解を解くためにあたしはゆっくりと話し始めた。
「うん」
「正直、あの連中の苛めには疲れた。これ以上ないってくらいに。だけどね、周助の事はすごく好きだよ…だから、」
「だから…?」
「あたしは周助とは別れないよ。何を言われたって絶対に」
そう言うと周助はにこりと笑ってまたあたしを抱きしめた。今度は、優しく、愛しむように。
「ありがとう。愛してるよ」
「周助」
「それじゃあ、これからは僕たちに任せてね」
「え、僕たち?っていうか何を任せるの?」
「を苛めた連中たちの事を、僕たち、テニス部レギュラー全員に」
「へ?」
「まぁ、これからが見ものって事」
「え、あ、うん」
「さてと、そろそろ僕はみんなのところに行かないと。あぁ、は体育館裏に行っててくれない?今英二の彼女が呼び出しうけてるんだ。少しの間、英二の彼女を庇っててよ」
「菊丸の彼女?」
「そう。知ってるでしょ?」
「そりゃ、まぁね。けど、何があるの?」
「いいから任せててよ」
周助はそれだけ言って意気揚々と教室を出て行く
「・・・一体、何」
ワケが分からなかったけど菊丸の彼女、ちゃんが数時間前のあたしの状況なら行かなきゃいけないよね。
そのまま教室を出て体育館裏へ向かった。
「アンタさぁ、菊丸君の迷惑だと思わないの?」
体育館に近づけば近づくほどあたしにも浴びせられた事のある言葉たちが聞こえてくる。
あたしは急いで裏へ回り、ちゃんの横に立った。
「は、不二君の彼女気取りしてるヤツが来たけど」
「何しに来たのよ、もしかして、また何か言われに来たワケぇ?」
ケラケラ笑いながらこっちを見る連中を見て、あたしは言った。
「黙ったら?」
さっき周助と別れないと決心してから強くなった気がした。じゃなきゃこんな言葉言えないよ。ちゃんも驚いたようにこっちを見てる。その耳にあたしは囁いた。
『男テニのみんなに任せてたら大丈夫だから』
するとちゃんは目を大きく開いて唖然としていたけど、コクコクと頷いて連中を見据えた。
「まぁ、一人増えても変わらないんだけどさ、アンタたち早く別れてよ」
「は?何言ってんのか分からないんだけど」
おお。ちゃんも案外強いじゃん。
「っっ!!!この生意気がっ!」
「いい気になってんじゃねーよ」
「どっちが?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・この声・・・。思わずちゃんと顔を見合わせた。
けど、連中は頭に血が昇っていて気付かない。
「てめーらに決まってんだろ!!」
真ん中に立っていた子の手が振り上げられた。
パシッ!
振り下ろされる直前で誰かがその手を掴んだ。
「お、大石君?」
大石君が振り上げられた手を掴んだままこっちを見た。
「大丈夫?」
「うん」
いつの間にかテニス部面子が周りを取り囲んでいた。そしてあたしの横には周助が、ちゃんの横にはしっかりと菊丸が立っていて、連中は口をポカンと開けて固まっていた。
「僕たちの彼女に手を出すなんて、ホントいい度胸してるよね」
「今まで知らなかったけど、前の女の子達だけじゃなくて、俺たちの気持ちまで傷つけたって事、分かってんの?」
周助と菊丸が低い声で呟く。
「けど、あたしたちは別れないよ」
女の子の声もして振り返るとあたしたち、つまりあたしとちゃん以外のテニス部メンバーの彼女が並んで立っていた。
「まったく、いきなり呼び出されて何かと思えば邪魔者一掃作業ですか…」
「前もって言っててくれたら良かったのに」
タカさんの彼女と手塚君の彼女が呆れたように言う。
もう連中は開いた口が塞がらないと言った感じでスゴスゴと逃げていく。
「ね、僕らに任せてたら大丈夫って言ったでしょ?」
周助があたしの顔を覗き込んでくる。あたしは、何故か無性に嬉しくなって周助に飛びついた。
「けど、正直不安だったよ」
周助はそう言ったあたしをしっかりと受け止めて抱きしめてくれた。
「うっわー。不二の彼女は大胆だにゃぁ〜」
菊丸はニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「くす。羨ましいの?英二」
「にゃ!そんな事ないにゃ!!」
「さん、英二を抱きしめてあげてよ」
菊丸がこっちをひやかしていると思っていたらさすがは周助。いつの間にか周助が菊丸たちをからかっていた。
「って不二ぃ〜、それって反対だにゃ!」
反論する菊丸を彼女さんはくすくす笑って見ていた。
「笑うなんてひどいぞ、〜」
「はいはい、ゴメンね。英二」
まだまだ笑いは収まらないちゃん。それでも菊丸をしっかり抱きしめてた。おお。菊丸が照れてる!!
笑いながら二人を見ているあたしの耳に周助は口を寄せ囁いた。
その言葉にあたしはゆるく首を振ると周助に笑いかけた。
そしてあたしたちはそれぞれ手を繋いで帰り道を歩いていった。
――今まで気付かないでごめんね 愛してる――
* あとがき *
今回は自信あるよ!うん、絶対に。かと言ってダメ出しもらったらどうしよ((笑
最後らへんはもうヤケクソで書いたから意味不明だかもしんない…。っていうか他のメンバー目立ってない…。どうしても36メイツに偏ってしまう…。他のキャラが出張る事を期待してた方、すみません。
不二君に「愛してる」って2回言わせたので勘弁してやってください((ぉぃ
何か、これの後日談みたいなの書きたいな。・・・よし。書きます!!そしてシリーズに・・・!
まぁ、頑張りますね。期待しててもらっても大丈夫かと…。あと、何か要望あったらどうぞ!!
2004.6.18