甘えていいから










「...だりぃ」
「へぇ。跡部でもそんな事言うんだねぇ」
「いや、結構言ってるで?」
「アラそーお?」
「...忍足、テメェ少し走ってこい」
「それ暴言やん...」
「あはは、行ってこい忍足〜」
までひどいわぁ...」
「あたしは優しいもーん。ってかさっさとどっか行け」
「分かったで...」
忍足は少し拗ねながら、岳人たちのところへ行った。
もちろん走るわけがないしね...。






「さて」
「あ゛?」
「大丈夫なの?」
「何がだよ」
こんな時まで強がるか...。さっきから呼吸も荒くて完璧具合悪いはずなのにね。
「そこに座り込んで約20分。動けないくらい具合悪いんでしょ」
「...」
ほらね。
跡部の腕に触れると、やっぱりありえないくらい熱かった。
「跡部、熱い...」
「お前が冷たいんだろ」
「それは無いって...。肩貸してあげるから保健室に行こうよ」
「めんどくせ」
「そんな事言って...」
額に手を当てて跡部は息をつく。
そしてチラリとあたしを見上げると、腕に触れていた手を掴んで引っ張った。
「うわっ」
ポスンと跡部の胸に収まってしまった。
跡部に包まれると触った時よりも熱くて、焼けちゃうんじゃないかと思った。

「何」
「少し、このままでいろ」
命令口調だけど、いつものような傲慢さが見えなかった。
「具合悪いくせに」
「だからだよ」
それから跡部にぎゅっと抱きこまれた。
「気が済んだら保健室に行くからね?」
「あぁ」







そう言って目を瞑った跡部はやっぱり熱かったけど、それがなんだか心地よく感じた。
氷帝テニス部を背負う俺様部長と言っても
「やっぱ人の子なんやなぁ」
うんうん。

「って、うわっ。忍足!っていうかみんな...。何で居るの」
「別に...」
「別にじゃないでしょがっくん。練習はどうしたの」
「だって跡部も部活してないもーん」
「ジロー...。見て分かんない?跡部は今具合悪いの。部活出来なくて当然でしょ」
「っていうか跡部大丈夫なのか?」
「宍戸はちゃんと心配してるわけね」
「いや俺たち一応みんな心配してるんだけどな」
「やっぱそうだよね。ふふ」
「何笑ってるん?」
「んーん。仲間だなあって思ったの」
「当然やん」
と、跡部が動いた。
ゆっくり頭を上げて一言。
「テメェらうるせぇ」
「んなー。ひどいやんか跡部」
「クソクソ。俺たち心配して来てやったんだぞ」
「そんな口叩けるんだったら平気じゃねーか。跡部」
「ハイハイ。じゃあ跡部は保健室に連れて行くから、みんなは練習しといてよ」
「わー跡部ズリー」
「ジロー、静かにしないと跡部の頭に響いちゃうでしょ。早くみんなと行きなよ」
「うー」
何かうなりながらジローもみんなの後をついて行った。






「失礼しまーす」
ガラガラと戸を開けて保健室に入る。だが放課後という事もあり保険医は帰宅した後だ。
「ま、跡部は迎えが呼べるからいいよね。少し休むだけだったら、別に使っても大丈夫でしょ」
一人でうんうん頷きながら跡部をベッドに寝かせた。
「熱測る?」
「めんどうだからいい」
「またソレ?」
跡部の発言にあたしは苦笑する。

「何?氷が欲しいとか?」
「いらねぇ。手、貸せよ」
「手?」
右手を差し出したら、跡部がそれをぎゅっと握った。
「ははーん。跡部も風邪引くと人恋しくなるわけね」
「るせー」
「いや、別に普通でしょ。これで安心して寝れるんだったらいくらでもどうぞ」
「........ありがとな」
眠る寸前跡部はお礼を言った。
なんか素直すぎて可愛いなぁ。いつもこんなんだったらいいのに。


「なんて、ね」













 


* あとがき *

 

信じられない....跡部メインじゃ書けないとか言いながらあたしこんなものを書いちゃったよ...。
あ、でもこれって別に恋愛要素は無いですよね。
強い人が、弱い姿を見せるとあたしは参りました...って感じになります(ぇ
いや、もうすごく萌えですよ!!いつもは強いのにこんな時、弱い人って。
しかも跡部がねぇ...。実は彼は甘えん坊だとあたしは認識しております....(何
と、言うワケでこれを書いたおかげで跡部という人物の好き要素がまた増えた、なぁ〜でした!!