愛は一方通行







「ねえ純平」
「うん」
「愛されるのってスゴく不安だよね」
「は?」
「だけどさ、愛しすぎちゃうのも、また不安だよね・・・・」
「よく分かんない」
「何か、一方通行みたいなの」
「それで?」
「そういう時は、これ以上不安になる前に別れちゃった方が良いんでしょうか?」
「・・・・ねえ」
「なに?」
「それって俺と別れたいって事?」
言葉に詰まった。
純平が鋭いって事なんか、十分承知だったハズなのに。
思ったらすぐに言っちゃうのがあたしの性格だからつい言っちゃったんだ・・・・。
あたしの、不安を遠まわしに。それでも純平は鋭いからすぐに分かっちゃったんだね。
「ねえ、そういう事?」
膝の上に肘をついてそれで頬杖を付きながらあたしをまっすぐに見つめてくる。
「純平・・・・」
答える代わりに純平の名前を呼ぶ。すると純平はため息を一つついて
「何」
それだけ返してきた。
「あたしの事、好き?」
「? 今更?」
いつもそう、『今更だろ』って言われてお終い。そりゃあね、好きじゃないと付き合ったりなんかしてないと思うんだけど(ましてや純平だし)時々言ってくれてないと、女の子は不安になるんだよ?
何も言えなくなってあたしは黙り込んだ。












あれから、どのくらい経ったのかなぁ?
自分の膝を抱きかかえながらあたしはぼんやりと上を眺めた。
相変わらず純平は頬杖をついて座ったまま。あたしもずっと黙り込んだまま。
物音一つしないでただ時間だけがふわふわと流れていった。
時間を意識してしまったら居たたまれなくなってしまってあたしは立ち上がった。そして
「ゴメンね純平」
それだけ言うと校舎に向かって走り出した。
後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた気がしたけどそのまま走った。
放課後の校舎は人も少なくて自分の教室に入れば誰も居なかった。
中に入って戸を閉めた途端涙が少しずつ溢れてきた。
あたしはそれを手の甲で拭いながら自分の席に座って鞄を準備する。
ガランとした教室にはあたしの啜り泣きが響いていた。






?」
いつの間にかあたしの後ろに羽生君が居た。
「あ・・・・・」
「何かあったのかよ」
「そんなに・・・・大したことじゃないよ」
「嘘つけ」
「ホントだってば」
「ホントだったら泣いてねーだろ」
あ・・・・羽生君の瞳は純平と同じ色をしてるんだね・・・。ひんやりとした黒。
一体何を見て生きてきたんだろう。吸い込まれてしまいそうになる、そんな瞳をしてる。
「昆川・・か?」
「うん・・・・」
「あいつさ、」
「?」
「付き合うとかそんな事今までした事なかったし不器用だから、を不安にさせてんのかも知んねーけど」
「ん・・」
の事、本気で好きだと思うぜ?」
ニッと笑ってそう羽生君は言った。
「・・・・あのね」
「ん」
「あたし純平が好きなんだ」
「見てりゃ分かるけど?」
「でね、あたしばっかり純平の事好きなのかなって考えてたんだけど」
「それはないけどね・・」
あたしが息を吸うために一旦黙り込んだその瞬間後ろの戸の方から静かな声が聞こえた。
驚いて視線を向ける。
「やっと来たか」
羽生君はまたニッと笑って純平に近づいていった。
「好きなんだったら少しは態度に出さねえと、捨てられるぜ?」
「余計なお世話だよ」
「ちぇ。素直じゃねえやつ・・・。ま、いっか。んじゃまた明日な。お二人さん」
そう言った後羽生君は教室から出て行った。
「・・・純平」
純平はゆっくり戸を閉めるとあたしに近づいてきた。
そしてあたしの頭を抱えるように抱きしめた。
「泣かせて、ごめん」
突然の行為に多少驚きながらもあたしは首を横に振る。
「俺って顔にも出にくいし、行動とかもあんまりしないやつだからがあーいう風に言ってくるのも当然なんだけど」
「ん」
「俺はが好きだから」
その、『好き』って言葉が聞こえたら、あたしの目からまた新しい涙が出てきた。
「ありがとう」
純平が親指で涙を拭ってくれた。暖かい指だった。そのまま目を瞑ってキスをした。
「一週間ぶりのキスだね」
あたしがそう言って二人でクスクス笑いあってもうすっかり暗くなった通学路を手を繋いで歩いて帰った。




『こんな日が、いつまでも続けばいいね』
『続かせるけどね』











* あとがき *

 

これ作成するのに掛かった時間は約一時間。マジで短ッ!!部活は無いのか、との突っ込みはナシの方向で・・(汗) だってシリアス書けない人なんだってば!!!
っていうかですね、純平って何かシリアスが似合うキャラだと思いません?口調は柔らかい方なのに冷たい言葉。まさにピッタンコカンカン!
そして緑山キャラの夢だと必ず出張る一斗。純平と反対で、口調は冷たいっていうか乱暴なのに何か暖かい人。だけど純平と同色な感じがするのは髪の毛の色が一緒だから?(違います)
今回もここまで読んでくれた人、ありがとうございます!みんな大好き!(ヤメロ
                                      2004.8.2